機密文書の電子化でセキュリティが重要な理由
紙文書や図面を電子化するとき、多くの企業や自治体が気にするのが情報セキュリティです。
特に電子化を外注する場合には、
「大切な資料を社外の業者に預けても大丈夫なのか?」
という不安を感じるのではないでしょうか。
実際、企業や官公庁が保管している紙資料には、さまざまな情報が含まれています。
例えば、
- 顧客名簿
- 個人情報
- 契約書
- 人事関係資料
- 財務資料
- 設計図
- 技術資料
- 研究資料
- 官公庁の行政資料
- 医療関係資料
などです。
電子化することで紙の保管スペースを減らし、検索性や情報共有を向上させることができます。
一方で、電子化作業では原稿そのものを第三者が取り扱うことになります。
つまり電子化のセキュリティは、
「電子データをどう守るか」
だけではありません。
「紙の原本をどう守るか」
も非常に重要なのです。

電子化では「紙」と「電子データ」の両方を守る必要がある
一般的に「情報セキュリティ」というと、
- 不正アクセス
- ウイルス
- パスワード
- サイバー攻撃
など、電子データに対する対策を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、紙資料を電子化する場合には、もう一つの問題があります。
それが、
原稿そのものの管理です。
例えば、電子化作業中に、
- 関係者以外が原稿を見る
- 原稿が紛失する
- 原稿が持ち出される
- 原稿を取り違える
- 電子化したデータを無断でコピーする
といったリスクが考えられます。
そのため、電子化業者を選ぶ際には、
「データのセキュリティ」+「原稿の物理的なセキュリティ」
の両方を確認することが重要です。
電子化で確認したい7つのセキュリティ対策
電子化業者へ機密資料を預ける場合には、少なくとも次のようなポイントを確認しましょう。
- 作業場所の入退室管理
- 原稿の保管・持ち出し管理
- 作業スタッフの管理
- 電子データへのアクセス管理
- データの受け渡し方法
- 作業終了後のデータ・原稿管理
- 情報管理に関する認証・体制
一つずつ確認していきます。
1.作業場所の入退室管理
機密文書を扱う作業では、誰でも自由に作業場所へ入れる状態にしないことが重要です。
例えば、
- 入退室管理システム
- ICカード等による入室管理
- 関係者以外の立ち入り制限
- 作業エリアの区画
- 入退室記録
などがあります。
特に重要なのが、
「誰が、いつ、作業エリアへ入ったのかを確認できること」
です。
万一、原稿の紛失や情報漏洩などの問題が発生した場合にも、入退室記録があれば原因を追跡するための手がかりになります。
エビスでは、紙文書の電子化作業において物理的なセキュリティを重視し、作業エリアの入退室管理を情報漏洩対策の中核の一つとしています。
関連情報:「情報セキュリティ対応」
2.原稿そのものを管理する
電子化では、紙の原稿を業者へ預けることになります。
そのため、
「原稿をどこに置くのか」
も重要です。
例えば大量の資料を預けた場合、
- 受け取り
- 搬入
- 一時保管
- 仕分け
- スキャン
- 検品
- 梱包
- 返却
という工程が発生します。
この間に原稿を紛失したり、別の案件と混ざったりしないよう、適切な管理が必要です。
特に大量案件では、原稿の数量や管理単位を明確にしておくことが重要になります。
例えば、
「箱番号」
「ファイル番号」
「原稿番号」
などを設定しておくことで、どの原稿をどこで処理しているのかを管理しやすくなります。
3.作業スタッフを適切に管理する
情報漏洩を防ぐためには、設備だけでなく人の管理も重要です。
電子化業務では、スタッフが原稿を直接扱います。
そのため、
- 作業担当者の管理
- 教育・研修
- 守秘義務
- 作業権限の管理
- 関係者以外のアクセス制限
などが必要になります。
特に機密性の高い資料では、
「誰でも作業できる」
という環境よりも、
「必要なスタッフだけが作業する」
という体制のほうが安心です。
個人情報を含む文書は特に注意が必要
紙資料には、思っている以上に個人情報が含まれています。
例えば、
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 生年月日
- 顧客情報
- 従業員情報
- 契約情報
などです。
さらに、図面であっても、
施主名・住所・担当者名
などが記載されている場合があります。
自治体から預かる資料には個人情報が含まれることが多く、メーカーから預かる資料は機密情報として扱われることが多いのが現状です。
つまり、
「図面だから個人情報は入っていない」
とは限りません。
4.電子化したデータへのアクセスを管理する
スキャンしたデータも当然、適切に管理する必要があります。
例えば、
- 作業用PC
- サーバー
- 外付け記録媒体
- USBメモリ
- CD/DVD
- ネットワークストレージ
などです。
電子化したデータを誰でも自由に閲覧・コピーできる状態にしてしまえば、紙の原稿を厳重に管理していても意味がありません。
そのため、
「誰がデータにアクセスできるのか」
を明確にすることが重要です。
データ納品方法もセキュリティの一部
電子化したデータを納品するときにも注意が必要です。
例えば、
- CD-R/DVD-R
- HDD
- USBメモリ
- クラウド
- ファイル転送サービス
など、さまざまな方法があります。
どの方法が最適なのかは、データの機密性やお客様の社内ルールによって異なります。
特に機密性の高いデータでは、
「メールに添付して送ればいい」
という単純な話ではありません。
自社のセキュリティ規程に合わせて、適切な納品方法を選択しましょう。
5.作業終了後のデータをどうするのか確認する
電子化が完了した後にも確認しておきたいことがあります。
それが、
「業者側に電子データが残っていないか?」
という点です。
業者によっては、作業用PCやサーバーなどに一時的なデータが保存されることがあります。
そこで、
- 作業終了後のデータ削除
- 一時ファイルの取り扱い
- バックアップデータの扱い
- 納品後の保存期間
などを確認しておくと安心です。
「納品したら終わり」ではなく、
「業者側ではその後どう管理されるのか」
まで確認しましょう。
6.原稿の返却・廃棄方法を確認する
電子化が完了すると、紙の原稿をどうするかという問題もあります。
選択肢としては、
- すべて返却する
- 一定期間保管してから返却する
- 業者に廃棄を依頼する
- 機密廃棄する
- 溶解処理する
などがあります。
特に大量の資料では、自社でシュレッダー処理するのが難しい場合があります。
当社では、電子化後の大量文書について、情報漏洩防止と紙資源の再利用を目的とした溶解処理サービスをご提案しています。
ただし、ここで注意したいのが、
「電子化したからすぐ紙を捨てていい」とは限らない
ということです。
法令や社内規程などによって保存が必要な原本もあります。
原本を廃棄する場合には、あらかじめ保存要件を確認しましょう。
7.第三者認証・情報管理体制を確認する
電子化業者を選ぶ際には、情報管理に関する第三者認証などを確認する方法もあります。
代表的なものの一つが、
プライバシーマーク
です。
プライバシーマークは、個人情報を適切に取り扱う仕組みを整備している事業者を対象とした制度です。
ただし、
「プライバシーマークを取得している=すべてのセキュリティ対策が完璧」
という意味ではありません。
あくまでも業者選定時に確認できる一つの判断材料として考え、実際の作業環境や原稿管理についても確認しましょう。
当社では、JIS Q 15001に基づく個人情報保護マネジメントへの取り組みとしてプライバシーマークを取得しているほか、品質管理ではISO 9001:2015の認証を取得しています。
関連情報:「情報セキュリティ」
「認証」だけでなく実際の運用を確認する
電子化業者を選ぶ際には、
「Pマークを持っているから大丈夫」
だけで判断するのではなく、
「実際に原稿はどこで保管されていますか?」
「作業エリアには誰が入れますか?」
「電子化したデータはどのように管理されますか?」
「納品後、業者側のデータはどうなりますか?」
といった具体的な質問をしてみましょう。
ここで具体的な説明ができる業者であれば、セキュリティに対する考え方も確認しやすくなります。
機密資料は「持ち出さない」という選択肢もある
ここまで読むと、
「セキュリティが重要なのは分かった。でも、そもそも機密資料を社外に持ち出すことができない」
という企業や自治体もあるでしょう。
実はこのような場合、出張スキャンという方法があります。
出張スキャンとは、電子化業者のスタッフが原稿の保管場所へ出向き、専用のスキャナーなどを持ち込んで現地で電子化する方法です。
出張スキャンなら原稿を社外へ持ち出さずに電子化できる
例えば、
- 官公庁の重要資料
- 医療関係資料
- 顧客情報
- 機密性の高い設計図
- 社外持ち出し禁止資料
- 大量の倉庫資料
などでは、出張スキャンが有効な場合があります。
エビスでは、原稿の持ち出しが禁止されている場合や大量の資料を電子化する場合を対象として、スタッフと機材を現地へ持ち込む出張スキャンサービスを提供しています。
関連情報:「出張スキャン」
出張スキャンでもセキュリティ対策は必要
「社外に持ち出さないから絶対に安全」というわけではありません。
現地作業の場合でも、
- 作業エリアの指定
- 作業スタッフの管理
- 持ち込む機材の管理
- 電子化したデータの管理
- データの持ち出し方法
- 作業終了後のデータ管理
などを考える必要があります。
そのため、出張スキャンを依頼するときも、
「現地でどのような作業を行うのか」
を事前に確認しておきましょう。
電子化業者に確認したいセキュリティチェックリスト
実際に業者へ問い合わせる際には、次の項目を確認しておくと安心です。
| 確認項目 | チェックポイント |
| 作業場所 | 関係者以外が入れないか |
| 入退室管理 | 入退室記録が残るか |
| 原稿管理 | 原稿をどのように管理するか |
| 作業スタッフ | 担当者の管理・教育はどうなっているか |
| 機密保持 | 守秘義務・契約への対応 |
| 個人情報 | 個人情報保護体制があるか |
| データ管理 | 作業データへのアクセス制限 |
| 納品方法 | 安全なデータ受け渡し方法か |
| バックアップ | 作業中のデータをどう扱うか |
| データ削除 | 納品後にどう処理するか |
| 原稿返却 | 返却方法・管理方法 |
| 原稿廃棄 | 廃棄・溶解方法 |
| 第三者認証 | Pマーク等の取得状況 |
| 出張対応 | 持ち出し禁止資料への対応 |
このチェックリストを使って複数の業者を比較すると、セキュリティ面の違いが見えやすくなります。
「電子化の費用が安い」だけで業者を選ばない
前回の記事では、電子化業者を選ぶ際には料金だけではなく、
- 品質
- 対応原稿
- OCR
- データ整理
- セキュリティ
- 実績
- 提案力
などを総合的に比較することが重要だと解説しました。
今回のセキュリティも、その中でも特に重要な項目です。
機密資料を預ける場合、
「1枚数円安い」
ということより、
「安心して原稿を預けられるか」
のほうが重要になるケースがあります。
電子化のセキュリティは「原稿を預ける前」に確認する
セキュリティ対策は、問題が発生してから考えるものではありません。
電子化を依頼する前に、
① どんな情報が含まれているのか
↓
② どの程度の機密性があるのか
↓
③ 原稿を社外へ持ち出せるのか
↓
④ どのような作業環境が必要なのか
↓
⑤ 電子データをどう納品するのか
↓
⑥ 電子化後の紙原稿をどうするのか
まで決めておくことが重要です。
機密性の高い資料ほど「電子化方法」から考える
例えば、次のように資料によって方法を変えることができます。
一般的な社内文書
→ 通常の持ち込み・預かり型スキャン
大量の文書
→ 専用ドキュメントスキャナーによる大量スキャン
製本された機密資料
→ 非破壊スキャン
社外持ち出し禁止資料
→ 出張スキャン
電子化後に紙を処分したい
→ 保存要件を確認したうえで機密廃棄・溶解処理
このように、セキュリティ要件に合わせて電子化方法そのものを選ぶことが大切です。
電子化は「安全性」と「使いやすさ」を両立させる
電子化の目的は、単に紙をPDFにすることではありません。
電子化後には、
- 必要な資料を検索する
- 社内で共有する
- テレワークで利用する
- 図面を確認する
- データベースで管理する
- 将来の資料として保存する
など、さまざまな用途があります。
だからこそ、
セキュリティだけを優先して使いにくいデータにする
のも、
利便性だけを優先して情報管理を疎かにする
のも適切ではありません。
重要なのは、
「必要なセキュリティを確保しながら、電子化後に使いやすいデータを作ること」
です。
まとめ|電子化では「紙」と「データ」の両方のセキュリティが重要
機密文書や個人情報を含む資料を電子化するときには、電子データだけでなく、電子化作業中の紙原稿そのものを守ることが重要です。
電子化業者を選ぶ際には、
- 作業エリアの入退室管理
- 原稿の保管・持ち出し管理
- 作業スタッフの管理
- 個人情報保護体制
- 電子データへのアクセス管理
- データの納品方法
- 納品後のデータ削除
- 原稿の返却・廃棄方法
- プライバシーマーク等の認証
- 機密資料を持ち出さない出張スキャンへの対応
などを確認しましょう。
特に、
「社外へ原稿を持ち出せない」
という場合でも、出張スキャンという選択肢があります。
電子化を安全に進めるためには、単に「セキュリティに強い業者」を探すだけでなく、
「自社の資料には、どのような電子化方法が適しているのか」
というところから相談することが大切です。
エビスの電子化サービスは情報セキュリティにも配慮しています
エビスでは、自治体や企業などから預かった図面・文書・資料を電子化するサービスを提供しています。
当社では情報セキュリティについて、JIS Q 15001に基づく個人情報保護マネジメントへの取り組み、プライバシーマークの取得、作業エリアの入退室管理などにより厳重に管理しています。また、ISO 9001:2015による品質管理体制も整えています。
関連情報:「情報セキュリティ」
また、原稿の持ち出しが難しい案件には、専用機材を現地へ搬入して作業する出張スキャンにも対応しています。
関連情報:「出張スキャン」
