紙文書を電子化するメリット・デメリット|ペーパーレス化の注意点も解説

紙文書を電子化する6つのメリット

紙文書を電子化する代表的なメリットは、次の6つです。

  1. 必要な資料を検索しやすくなる
  2. 保管スペースを削減できる
  3. 情報共有が簡単になる
  4. 紙の劣化・紛失リスクを減らせる
  5. BCP対策につながる
  6. 業務のデジタル化を進めやすくなる

それぞれ詳しく見ていきましょう。


1.必要な資料を検索しやすくなる

紙文書を電子化する大きなメリットのひとつが、資料を探しやすくなることです。

紙の場合、必要な書類を探すために、

「キャビネットを開ける」

↓

「ファイルを探す」

↓

「ファイルの中身を確認する」

という作業が必要になります。

資料の量が増えるほど、この作業には時間がかかります。

電子化すれば、ファイル名やフォルダ名、管理番号などを使って必要なデータを探しやすくなります。

さらにOCR(光学文字認識)を利用すれば、PDFなどの電子データに含まれる文字を検索できるようにすることも可能です。

例えば、

「2022年」「○○工事」「株式会社○○」

などのキーワードから、該当する資料を探すといった使い方ができます。

ただし、OCRはどのような原稿でも完全に文字を認識できるわけではありません。原稿の状態や文字の種類によって認識精度が変わるため、検索性を重視する場合には事前にテストすることも重要です。

専門サイトでは、OCRによって紙の情報を「探せるデータ」に変える方法について詳しく解説しています。


2.保管スペースを削減できる

紙文書が大量になると、当然ながら保管場所が必要になります。

ファイルキャビネット、書庫、倉庫などを利用している企業では、紙資料の増加によってオフィスや倉庫のスペースが圧迫されることがあります。

電子化することで、紙そのものを保管する量を減らせる可能性があります。

例えば、

大量の紙ファイル

↓

スキャン

↓

電子データ化

↓

サーバー・NAS・クラウドなどで管理

という形にすることで、物理的な保管スペースを削減できます。

特に、オフィス移転や倉庫整理のタイミングは、電子化を検討するよい機会です。

実際に電子化専門サイトでも、DXや固定費削減などを目的として紙資料を電子化する方法が紹介されています。

ただし、「電子化したら紙はすべて廃棄できる」とは限りません。

文書によっては保存が必要な場合があるため、原本の扱いについては別途確認が必要です。


3.情報共有が簡単になる

紙文書は、基本的に「その紙がある場所」で利用する必要があります。

例えば本社の書庫にある資料を支店の担当者が確認したい場合、コピーや郵送などの対応が必要になることがあります。

電子化したデータなら、社内ネットワークや適切なクラウド環境などを利用して共有できます。

複数の担当者が同じ資料を確認することもできるため、

  • 部署間の情報共有
  • 拠点間の情報共有
  • 在宅勤務での資料確認
  • 外出先からの資料確認
  • 会議中の資料共有

などにも活用できます。

現在では「紙を電子化すること」そのものよりも、電子化した情報をどのように業務で活用するかが重要になっています。


4.紙の劣化・紛失リスクを減らせる

紙は、時間の経過によって劣化します。

保管環境によっては、

  • 紙の変色
  • 色あせ
  • 湿気による劣化
  • カビ
  • 破れ
  • 折れ

などが発生する可能性があります。

特に古い図面や歴史資料、和紙などの古い文書は、原稿そのものが貴重な情報資産となっている場合があります。

電子化しておけば、原稿とは別にデジタルデータとして情報を残すことができます。

もちろん、電子データも適切にバックアップや保存管理を行う必要があります。

つまり電子化は、

「紙をなくすための方法」

だけではなく、

「紙に記録された情報を別の形でも残しておく方法」

としても活用できます。


5.BCP対策につながる

紙資料の大きな弱点のひとつが、災害への弱さです。

火災、地震、水害などによって紙資料が失われると、同じ資料を復元することが難しい場合があります。

電子化したデータを適切にバックアップしておけば、万一の災害時にも重要な情報を保全できる可能性があります。

例えば、

紙原本

+

社内保存データ

+

別拠点・クラウド等のバックアップ

というように複数の保存先を用意することで、リスク分散につなげることができます。

専門サイトでも、電子化の目的のひとつとしてBCP対策を挙げています。

ただし、電子化しただけでBCP対策が完了するわけではありません。

バックアップ先、アクセス権限、復旧方法なども含めて検討する必要があります。


6.業務のデジタル化を進めやすくなる

紙文書を電子化すると、その後の業務改善につなげやすくなります。

例えば、

紙文書

↓

スキャン

↓

PDF化

↓

OCR

↓

検索・データベース化

↓

業務システムとの連携

という発展が考えられます。

つまり、文書電子化は単なるペーパーレス化ではなく、DXを進めるための入口になる場合があります。

ただし、電子化しただけで業務が自動的にDX化するわけではありません。

電子化後に「そのデータをどう使うのか」まで考えることが重要です。


紙文書を電子化する5つのデメリット

一方で、電子化には注意すべき点もあります。

代表的なデメリットは次の5つです。

  1. 電子化には初期費用がかかる
  2. 電子化するまでに手間がかかる
  3. 電子データの管理が必要になる
  4. セキュリティ対策が必要になる
  5. 紙のほうが使いやすい場面もある

メリットだけでなく、こうした点を理解したうえで導入することが重要です。


1.電子化には初期費用がかかる

紙文書を電子化するためには、当然ながら費用が発生します。

自社で行う場合でも、

  • スキャナー
  • パソコン
  • 保存媒体
  • ソフトウェア
  • 作業時間
  • 人件費

などが必要になります。

外部業者へ依頼する場合には、スキャン費用や前処理費用、OCR費用、データ整理費用などが発生する場合があります。

そのため、

「紙をなくせば必ず安くなる」

とは限りません。

重要なのは、電子化によって得られる効果と費用を比較することです。

例えば、

  • 書庫の賃料
  • 保管スペース
  • 資料を探す時間
  • コピー・郵送費
  • 情報共有にかかる時間
  • 紙資料の管理工数

なども含めて考えると、電子化の費用対効果を判断しやすくなります。


2.電子化するまでに手間がかかる

「スキャンするだけだから簡単」と思われがちですが、大量の紙文書を電子化する場合、スキャン前後の作業が意外と大きな負担になります。

例えば、

  • 文書の仕分け
  • ホチキス外し
  • クリップ外し
  • ページ順の確認
  • スキャン
  • 画像確認
  • ファイル分割
  • ファイル名設定
  • OCR処理
  • データ整理
  • 原稿の再整理

などです。

特に大量の紙資料では、スキャンそのものよりも前処理や後処理に時間がかかるケースがあります。

当社専門サイトでも、付箋やクリップなどの準備作業が電子化の作業時間・コストに影響することを解説しています。


3.電子データの管理が必要になる

紙を電子化すると、今度は電子データを適切に管理しなければなりません。

例えば、

「PDFを作ったけれど、どこに保存したのか分からない」

「ファイル名がバラバラで検索できない」

「最新版がどれなのか分からない」

という状態では、せっかく電子化しても十分に活用できません。

そのため、

  • ファイル名
  • フォルダ構成
  • 管理番号
  • バージョン
  • アクセス権限
  • バックアップ
  • 保存期間

などを事前に決めることが重要です。

特に大量の図面や技術資料では、電子化と同時にデータベースや管理台帳を整備する方法もあります。


4.セキュリティ対策が必要になる

紙文書にも情報漏洩リスクはありますが、電子化すると、今度は電子データ特有のセキュリティ対策が必要になります。

例えば、

  • 不正アクセス
  • 不正コピー
  • 誤送信
  • アカウントの不正利用
  • 外部記憶媒体からの情報流出
  • クラウド上でのアクセス管理

などです。

また、電子化作業を外部業者へ委託する場合には、紙の原本そのものを社外へ預けることになる場合があります。

そのため、業者選定では価格だけでなく、

  • 作業場所
  • 入退室管理
  • 原稿の保管方法
  • データ管理
  • 作業者の管理
  • 納品方法
  • 作業後のデータ削除
  • 原稿廃棄方法

なども確認することが重要です。

電子化専門サイトでも、企業や官公庁の電子化では機密情報を扱うケースが多く、物理的なセキュリティを含めた対策が重要とされています。


5.紙のほうが使いやすい場面もある

ここはペーパーレス化を考えるうえで、意外と重要なポイントです。

電子データは便利ですが、すべての業務で紙より優れているわけではありません。

例えば、

  • 大きな図面を机いっぱいに広げて確認する
  • 複数ページを並べて比較する
  • 現場で直接書き込む
  • 会議中に複数の資料を同時に見る
  • 電源や端末を使わずに確認する

といった場面では、紙のほうが使いやすい場合があります。

特に図面では、電子化したからといって紙を完全になくすことが必ずしも最適とは限りません。

「すべて紙をなくす」のではなく、「紙と電子データを適切に使い分ける」

という考え方も重要です。


電子化のメリット・デメリットを比較すると

ここまでの内容を簡単にまとめると、次のようになります。

メリットデメリット
資料を検索しやすい電子化費用がかかる
保管スペースを削減できるスキャン作業が必要
情報共有しやすいデータ管理が必要
紙の劣化・紛失リスクを減らせるセキュリティ対策が必要
BCP対策になる原本の扱いを検討する必要がある
DXにつなげやすい紙のほうが便利な場合もある

この表からも分かるように、電子化は「メリットしかない」というものではありません。

電子化によって解決したい課題が明確であればあるほど、メリットを活かしやすくなります。


ペーパーレス化と電子化は同じではありません

ここで注意したいのが、「電子化」と「ペーパーレス化」は似ているようで少し違うということです。

電子化とは、すでに存在する紙資料をスキャンして電子データにすることです。

一方、ペーパーレス化は、紙を使わない業務へ移行することを指します。

例えば、

紙の契約書をスキャンする

→ 電子化

最初から電子契約を利用する

→ ペーパーレス化

という違いがあります。

つまり、過去の紙資料を電子化するだけでは、紙の発生そのものを止めることはできません。

本格的にペーパーレス化を進めるのであれば、

  • 電子申請
  • 電子契約
  • 電子帳票
  • ワークフロー
  • クラウドストレージ
  • 電子保存

など、業務そのものを見直す必要があります。

DX・ペーパーレス化を目的とする場合は、単に紙を電子化するだけでなく、最初から紙を出さない業務へ見直すことが重要です。


電子化を成功させるには「全部電子化」しないことも大切

電子化を検討するときにありがちな失敗が、

「せっかくだから全部電子化しよう」

と考えてしまうことです。

しかし、すべての資料を電子化する必要があるとは限りません。

例えば、

電子化したほうがよい資料

  • 頻繁に検索する資料
  • 長期間保存する資料
  • 保管量が多い資料
  • 複数拠点で共有する資料
  • 劣化が進んでいる資料
  • BCP対策として残したい資料

電子化を慎重に検討したい資料

  • ほとんど利用しない資料
  • 電子化コストが高い資料
  • 原本そのものに価値がある資料
  • 紙で利用するほうが便利な資料
  • 保存方法に法的・社内上の制約がある資料

というように、資料ごとに判断することが大切です。


電子化するか迷ったら「費用」だけで判断しない

電子化の費用を検討するときには、スキャン料金だけを見るのではなく、紙を保管し続けるためのコストも考えてみましょう。

例えば、

  • 書庫のスペース
  • 倉庫の賃料
  • ファイル・キャビネット
  • 資料整理の人件費
  • 資料検索にかかる時間
  • コピー・郵送費
  • 災害時の復旧コスト

などです。

一見すると電子化費用が高く見えても、長期間の保管・管理コストまで含めると、電子化するメリットが大きくなる場合があります。

反対に、ほとんど利用しない資料を高額な仕様で電子化すれば、費用対効果が合わなくなる可能性もあります。

したがって、

「電子化するか・しないか」ではなく、
「どの資料を、どの仕様で電子化するか」

という視点が重要です。


電子化する前に確認したい5つのポイント

電子化を始める前に、次の5項目を確認してみましょう。

① 電子化の目的

保管スペース削減なのか、検索なのか、情報共有なのか、BCPなのか。

② 電子化する資料

すべての紙を電子化するのか、重要な資料だけにするのか。

③ 電子化後の用途

閲覧、印刷、OCR検索、データベース化、CAD利用など、何に使うのか。

④ 原本の扱い

電子化後も紙を保存するのか、一定期間保管するのか、廃棄するのか。

⑤ 電子データの管理方法

ファイル名、保存場所、アクセス権限、バックアップなどをどうするのか。

この5つを決めてから電子化を始めることで、不要な作業や追加費用を抑えやすくなります。


自社で電子化するか、外注するか

少量の文書であれば、自社の複合機やスキャナーを使って電子化できる場合があります。

一方で、

  • 数万枚以上の大量資料
  • A0・A1・A2などの大判図面
  • 製本された資料
  • 古い資料
  • 破れやすい資料
  • OCRや画像補正が必要
  • ファイル名・データ整理まで必要

といったケースでは、専門業者への外注を検討したほうが効率的な場合があります。

つまり、

「自社でできるか」ではなく「自社で行うことが合理的か」

という視点で判断することが大切です。


まとめ|電子化はメリットとデメリットの両方を理解して進めましょう

紙文書の電子化には、

  • 資料を検索しやすくなる
  • 保管スペースを削減できる
  • 情報共有が簡単になる
  • 紙の劣化や紛失リスクを減らせる
  • BCP対策につながる
  • DXを進めやすくなる

といった多くのメリットがあります。

一方で、

  • 電子化費用がかかる
  • スキャン作業に手間がかかる
  • 電子データの管理が必要
  • セキュリティ対策が必要
  • 紙のほうが使いやすい場合もある

というデメリットもあります。

そのため、電子化を成功させるポイントは、「とにかく紙をなくす」ことではありません。

まず、

何のために電子化するのか

を明確にし、その目的に合わせて、

何を電子化するのか → どのような仕様にするのか → 電子化後にどう管理するのか

まで考えることが重要です。

当社では、一般的なA4・A3文書からA0・A1・A2などの大判図面、製本資料、古い資料まで、さまざまな原稿の電子化に対応しています。

「電子化したほうがよい資料が分からない」「どの程度の仕様が必要なのか分からない」「自社で行うべきか外注すべきか迷っている」といった段階でもご相談いただけます。

紙文書・図面の電子化をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。