電子化は自社で行うべき?それとも外注すべき?
紙文書や図面を電子化しようとすると、最初に悩むのが、
「自社の複合機やスキャナーで電子化したほうがいいのか、それとも専門業者に依頼したほうがいいのか?」
という問題です。
少量の書類であれば、自社でスキャンすることはそれほど難しくありません。
しかし、数千枚、数万枚という大量の資料になると話は変わってきます。
スキャンそのものだけでなく、
- 原稿の仕分け
- ホチキスやクリップの取り外し
- スキャン
- 画像確認
- ファイル名の設定
- フォルダ分け
- OCR処理
- データ整理
- 原稿の返却・廃棄
など、さまざまな作業が発生するからです。
専門サイトでも、内製スキャンとスキャンBPOを比較し、少量の日常的なスキャンは内製、大量・短納期・大判図面・高度な処理が必要な案件は外注が向いていると整理しています。
では、具体的にどのような場合に外注を検討すればよいのでしょうか。

まずは「自社スキャン」と「外注」の違いを比較
大まかに比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 自社でスキャン | 専門業者へ外注 |
| 初期費用 | スキャナー等の設備が必要 | 基本的に設備投資不要 |
| 少量の資料 | 向いている | 割高になる場合がある |
| 大量の資料 | 時間がかかる | 得意 |
| 短納期 | 人員確保が必要 | 対応しやすい |
| A0・A1等の大判図面 | 設備が必要 | 対応しやすい |
| OCR | ソフト・作業が必要 | 専門処理を依頼できる |
| ファイル整理 | 自社で行う | 依頼できる場合がある |
| 品質管理 | 担当者の技量に左右される | 専門設備・工程を利用できる |
| セキュリティ | 社外へ原稿を出さない | 業者の管理体制を確認する必要 |
| 社内の作業負担 | 大きい | 軽減できる |
ただし、これはあくまで一般的な比較です。
実際には、原稿の量だけでなく、原稿の種類・状態・納期・必要な品質・セキュリティ要件によって判断する必要があります。
自社で電子化するメリット
まずは自社スキャンのメリットから見ていきましょう。
1.少量ならコストを抑えやすい
数十枚、数百枚程度の資料であれば、社内の複合機や既存スキャナーを利用して電子化したほうが経済的な場合があります。
外注すると、
- 基本料金
- スキャン料金
- データ整理費用
- 送料
などが発生する場合があるため、少量の資料では自社対応のほうが合理的なケースがあります。
2.原稿を社外へ出さなくてよい
機密性の高い資料を扱う場合、自社スキャンなら原稿を社外へ持ち出す必要がありません。
例えば、
- 人事資料
- 顧客情報
- 契約書
- 研究資料
- 設計図
- 技術資料
などです。
もちろん、自社で行う場合でも、スキャンしたデータのアクセス権限や保存場所などのセキュリティ対策は必要です。
機密性が高い場合には内製と外注をセキュリティ要件に応じて使い分ける必要もあります。
3.必要なときにすぐスキャンできる
日常業務で発生する少量の書類をその都度電子化するのであれば、自社対応が便利です。
例えば、
書類を受け取る
↓
その場でスキャン
↓
指定フォルダへ保存
という運用ができます。
毎日数枚~数十枚程度の書類を継続的に電子化するのであれば、わざわざ外注する必要がない場合もあります。
自社スキャンのデメリット
一方で、自社で大量の資料を電子化する場合には注意が必要です。
1.担当者の作業時間が必要
最大の問題は、スキャン担当者の工数です。
例えば1万枚の資料を電子化するとします。
スキャン速度だけを考えれば、
「1枚数秒だから、それほど時間はかからない」
と思うかもしれません。
しかし実際には、
- 原稿を揃える
- 仕分けする
- ホチキスを外す
- スキャンする
- 向きを確認する
- ページ抜けを確認する
- ファイル名を付ける
- 保存する
- 原稿を整理する
といった作業が必要です。
つまり、
「スキャナーが1分間に何枚処理できるか」だけでは、電子化に必要な時間は判断できません。
2.本来の業務を圧迫する可能性がある
電子化を担当する社員が、本来は営業や総務、設計など別の業務を担当している場合、スキャン作業によって本来の仕事が進まなくなることがあります。
例えば、
電子化作業を100時間削減できたとしても、社員の人件費や本来の業務への影響を考えれば、外注したほうが合理的だった
というケースもあります。
電子化を内製する場合は、スキャン費用だけでなく、社員の作業時間をコストとして考えることが重要です。
3.大量処理には向かない場合がある
毎日少量の書類を処理することと、数万枚の資料を一括して処理することでは、必要な体制が大きく異なります。
例えば、
- 倉庫整理
- オフィス移転
- 合併・統合
- 書庫整理
- 大量の過去資料の電子化
- 図面の一括電子化
などでは、短期間に大量の資料を処理する必要があります。
このような案件では、通常業務の合間に社員がスキャンする方法では、完了まで長期間かかる可能性があります。
4.専用設備が必要になる場合がある
A4の普通紙なら複合機でも対応できます。
しかし、電子化する資料が、
- A0
- A1
- A2
- 長尺図面
- 製本資料
- 古い資料
- 破れやすい原稿
- 和紙
- 写真
- マイクロフィルム
などになると、一般的な複合機では対応できません。
大判図面などは専用のスキャナーが必要になる場合があります。
つまり、
「電子化する資料が何なのか」
によって、内製できるかどうかが大きく変わります。
外注するメリット
では、専門業者に外注するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
1.大量の資料をまとめて処理できる
外注の大きなメリットが、大量処理への対応力です。
専門業者では、電子化を専門に行う設備やスタッフを用意しているため、社内の通常業務とは切り離して大量の資料を処理できます。
特に、
「数千~数万枚の資料を、決められた納期までに電子化したい」
という案件では、外注を検討する価値が高くなります。
大量処理・短納期案件では外製のメリットが大きくなる傾向があります。
2.社員の作業負担を減らせる
電子化作業を外注すれば、社員は本来の業務に集中できます。
これは単純な「作業時間削減」以上に重要です。
例えば、
社員10人が毎日1時間ずつスキャン
している場合、
1日10時間もの工数が電子化に使われることになります。
その作業を外注すれば、社員の時間を本来の業務へ戻せる可能性があります。
3.専門設備を利用できる
電子化業者には、一般的な複合機では対応しにくい原稿を処理するための設備があります。
例えば、
- 大判図面用スキャナー
- フラットベッドスキャナー
- オーバーヘッドスキャナー
- 高速スキャナー
- ブックスキャナー
などです。
特に製本された図面や古い資料などは、原稿を傷めないように非破壊でスキャンする方法が必要になる場合があります。
こうした原稿は、単純に「複合機に入れてスキャンする」という方法では対応できません。
4.スキャン以外の作業も依頼できる
電子化業者によっては、単純なスキャンだけではなく、
- 原稿仕分け
- ファイル分割
- ファイル結合
- ファイル名設定
- フォルダ構成
- OCR
- 画像補正
- データベース化
- 原稿返却
- 原稿廃棄
などをまとめて依頼できます。
スキャンだけでなくファイル命名、フォルダ階層、OCR、PDF統合などを含めて外注する事も可能です。
これは大量案件では非常に大きなメリットです。
5.品質を一定にしやすい
自社でスキャンする場合、担当者によって、
「このくらいの画質でいいだろう」
「このページは少し傾いているけど問題ない」
といった判断が変わることがあります。
専門業者では、事前に仕様を決めてから作業することで、一定の基準で大量の原稿を処理しやすくなります。
もちろん業者によって品質や対応範囲は異なるため、サンプルスキャンや仕様確認を行うことが重要です。
外注するデメリット
外注にも当然デメリットがあります。
1.外注費用が発生する
最も分かりやすいデメリットです。
自社の設備を使えば追加費用が少なく済むケースでも、外注すればスキャン費用などが発生します。
ただし、
「外注費=電子化にかかる総コスト」
とは限りません。
自社で行う場合には、
- 社員の人件費
- 設備費
- 消耗品
- 教育費
- 作業場所
- メンテナンス費
- 本来の業務への影響
なども考える必要があります。
そのため、外注費と内製費を同じ条件で比較することが重要です。
2.原稿を社外へ預ける必要がある
外注する場合、紙の原稿を業者へ搬送する必要があります。
特に機密資料の場合には、
- どこで作業するのか
- 誰が扱うのか
- 原稿をどう保管するのか
- 輸送中の管理はどうするのか
- データをどう管理するのか
- 作業後にどう廃棄するのか
などを確認しましょう。
専門業者へ依頼する場合は、価格だけでなく、セキュリティ体制まで含めて比較することが重要です。外注へ依頼する時には原稿の外部搬出や輸送リスクなどを考慮する必要があります。
3.業者選びを間違えると期待した品質にならない
「スキャン業者ならどこでも同じ」と考えるのも危険です。
業者によって、
- 対応サイズ
- 対応原稿
- 解像度
- OCR
- 画像補正
- ファイル整理
- セキュリティ
- 納期
- 原本の扱い
などが異なります。
特に大判図面や製本資料、古い資料などは、一般的なスキャンサービスでは対応できない場合があります。
そのため、見積金額だけでなく、実際の作業内容まで比較することが重要です。
電子化を外注したほうがよい7つのケース
ここまでを踏まえると、次のような場合は外注を積極的に検討してよいでしょう。
① 数千枚以上の資料をまとめて電子化したい
大量資料を短期間で処理する必要がある場合です。
② A0・A1・A2などの大判図面がある
一般的な複合機では対応できないため、専門設備を持つ業者が適しています。
③ 製本された資料を電子化したい
製本を解体せずにスキャンする「非破壊スキャン」が必要になる場合があります。
④ OCRやファイル整理まで行いたい
単純なPDF化ではなく、
「後から検索・管理できるデータにしたい」
という場合です。
⑤ 短期間で電子化したい
オフィス移転や倉庫整理などで期限が決まっている場合は、専門業者への外注が有効です。
⑥ 社員にスキャン作業をさせる余裕がない
本来の業務を止めずに電子化したい場合です。
⑦ 原稿の取り扱いに専門知識が必要
古い資料、破れやすい資料、大判図面、特殊原稿などは、専門設備と経験を持つ業者への相談がおすすめです。
逆に、自社スキャンが向いているケース
すべての電子化を外注すればよいわけではありません。
次のような場合は、自社対応が合理的です。
- 毎日少量の書類を処理する
- 数十~数百枚程度の小規模案件
- 一般的なA4・A3書類
- 特殊な画質を必要としない
- すぐにスキャンする必要がある
- 社外へ原稿を出したくない
- 社内に設備と担当者がいる
特に「毎日発生する書類をその都度電子化する」という運用は、内製との相性が良いでしょう。
「大量なら外注、少量なら自社」が基本
判断に迷った場合は、まず次のように考えると分かりやすいでしょう。
少量・日常業務
自社スキャン
↓
既存設備を活用
↓
必要なときに処理
大量・一括処理
専門業者へ外注
↓
専門設備・人員を活用
↓
短期間でまとめて電子化
ただし、単純に「何枚以上なら外注」という明確な境界線があるわけではありません。
資料の種類、納期、品質、社員の工数、セキュリティなどを含めて総合的に判断する必要があります。
「ハイブリッド型」という選択肢もあります
実は、
「全部自社」
か
「全部外注」
の二択にする必要はありません。
例えば、
日常的な書類
→ 自社でスキャン
過去の大量資料
→ 外注
機密性の非常に高い資料
→ 自社で処理
A0・A1図面
→ 専門業者へ外注
という使い分けもできます。
この方法なら、外注費用を抑えながら、専門設備が必要な部分だけを業者へ任せることができます。
内製と外製を組み合わせたハイブリッド型も有効な選択肢のひとつです。
外注する前に決めておきたい5つのこと
電子化業者へ相談する前に、次の項目を整理しておくと、見積もりや仕様決定がスムーズになります。
1.何を電子化するのか
例:
- A4文書
- A3帳票
- A0~A2図面
- 製本資料
- 古文書
- 写真
2.どれくらいあるのか
「段ボール10箱」ではなく、可能なら、
- 約○枚
- ○冊
- ○箱
- A4○枚、A1○枚
など、できるだけ具体的にします。
3.電子化後に何をするのか
例えば、
- 閲覧する
- 印刷する
- OCR検索する
- データベース化する
- CADで利用する
- 社内共有する
などです。
用途によって必要な仕様が変わります。
4.原本をどうするのか
前回の記事でも解説したように、
「電子化したら紙を捨てる」
とは限りません。
保存するのか、返却するのか、廃棄するのかを事前に決めておきましょう。
5.納期はいつなのか
「できれば早く」ではなく、
「○月○日までに必要」
と明確にすることで、業者側も適切な処理方法を提案しやすくなります。
実際の電子化業務でも、原稿の状態・数量・希望仕様などを確認したうえで打ち合わせと見積もりを行う流れが一般的です。
電子化業者に見積もりを依頼するときのポイント
見積もりを取る場合は、単純に、
「A4を1万枚スキャンするといくらですか?」
だけではなく、次のような情報を伝えることをおすすめします。
- 原稿の種類
- サイズ
- 数量
- カラー/モノクロ
- 希望解像度
- OCRの有無
- ファイル形式
- ファイル分割方法
- ファイル名
- 納期
- 原稿返却の有無
- 原本廃棄の有無
- セキュリティ要件
これだけ情報があれば、単純な「スキャン料金」ではなく、実際に必要な作業を含めた見積もりを出してもらいやすくなります。
「1枚いくら」だけで業者を比較しない
電子化業者を比較するとき、つい、
「1枚○円」
という価格だけを見てしまいます。
しかし、実際には、
スキャン料金
+
前処理
+
画像補正
+
OCR
+
ファイル整理
+
データ納品
+
原稿返却・廃棄
など、さまざまな工程があります。
そのため、見積書を見るときには、
「その金額で、どこまでやってもらえるのか?」
を確認しましょう。
単純なスキャン代行と電子化専門業者では、対応範囲やファイル整理、OCR、文書管理支援などに違いがあるので注意が必要です。
電子化業者を選ぶときのチェックポイント
外注を決めたら、次は業者選びです。
最低限、次の項目を確認しておきましょう。
| チェック項目 | 確認内容 |
| 対応サイズ | A4~A0等に対応しているか |
| 対応原稿 | 製本・古い資料等に対応できるか |
| スキャン方式 | 原稿に適した設備があるか |
| 品質管理 | 検品工程があるか |
| OCR | 必要な場合に対応できるか |
| ファイル整理 | 命名・フォルダ分けに対応できるか |
| セキュリティ | 原稿・データをどう管理するか |
| 原本管理 | 保管・返却・廃棄方法 |
| 実績 | 法人・自治体等の実績 |
| 見積もり | 作業内容が明確になっているか |
電子化専門業者を選ぶ際には、資格者の在籍、保存・廃棄ルール、台帳作成、セキュリティ体制などを確認することを推奨しています。
電子化は「スキャン作業」ではなく「情報整理」と考える
電子化を成功させるうえで、最も大切な考え方のひとつが、
電子化=紙をPDFに変換するだけではない
ということです。
例えば、
紙資料
↓
スキャン
↓
だけなら、単なる画像データです。
そこから、
OCR
↓
ファイル名設定
↓
フォルダ構成
↓
検索
↓
データベース化
まで行えば、業務で使いやすい「情報資産」になります。
そのため、外注するかどうかを決めるときも、
「スキャン作業を誰がするか」
だけではなく、
「電子化したデータをどう使うのか」
まで考えることが重要です。
まとめ|外注するかどうかは「枚数+工数+品質」で判断
紙文書の電子化は、必ずしも外注しなければならないわけではありません。
少量の一般文書を日常的に処理するのであれば、自社スキャンが合理的な場合があります。
一方で、
- 大量の資料
- 短納期
- A0・A1などの大判図面
- 製本資料
- OCRやファイル整理が必要
- 高品質なスキャンが必要
- 社員の作業負担を減らしたい
といった場合は、専門業者への外注を検討する価値があります。
判断するときには、
「スキャン料金がいくらか」
だけではなく、
「社員が作業する時間はいくらか」
「設備を用意する必要があるか」
「いつまでに終わらせる必要があるか」
「必要な品質を確保できるか」
まで含めて比較しましょう。
また、すべてを自社または外注のどちらかに統一するのではなく、
日常的な少量文書は自社、大量の過去資料や大判図面は外注
というハイブリッド型も有効です。
当社では、一般文書だけでなく、A0・A1・A2などの大判図面、製本資料など、さまざまな原稿の電子化についてご相談いただけます。電子化の目的や原稿の数量・状態、希望する仕様などを確認したうえで、適した方法をご提案しています。
「自社でやるべきか外注すべきか分からない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
