白焼き図面も経年劣化する?高温保管で起こるトナー溶融と電子化の重要性

はじめに

建設会社や設計事務所、製造業では、数十年前に作成した図面を保管しているケースが少なくありません。

古い図面と聞くと、多くの方は青焼き図面(ジアゾ図面)の退色を思い浮かべます。青焼きは紫外線や空気中の酸素の影響を受け、年数の経過とともに青色が薄くなってしまうことが広く知られています。

一方で、白焼き図面にも経年劣化があることは意外と知られていません。

実は近年、猛暑の影響により、白焼き図面が保管中に損傷する事例が増えています。


白焼き図面とは?

白焼き図面は、白い紙に黒色の線が描かれた図面です。

現在のレーザープリンターや複合機と同様に、トナーと呼ばれる粉末状の樹脂インクを熱で溶かして紙へ定着させる方式で作成されています。

このトナーは非常に耐久性が高く、通常環境では長期間保存できます。

しかし、永久に変化しないわけではありません。


猛暑による高温保管で起こるトナーの再溶融

近年は夏季になると倉庫内温度が40~50℃を超えるケースも珍しくありません。

空調設備のない保管倉庫やプレハブ倉庫では、さらに高温になることがあります。

このような環境で長期間保管された白焼き図面では、

  • トナーが軟化する
  • 紙同士が貼り付く
  • トナーが裏面へ転写する
  • 文字や線が欠損する

といった現象が発生することがあります。

特に図面を何百枚、何千枚と重ねて保管している場合には注意が必要です。


図面が貼り付く「ブロッキング現象」

高温になるとトナー表面がわずかに軟化します。

その状態で図面同士が密着していると、時間の経過とともにトナー同士、または紙表面とトナーが接着したような状態になります。

これを印刷業界ではブロッキング(Blocking)と呼びます。

無理に剥がすと、

  • 図面の線が欠ける
  • 文字が消える
  • 他の図面へ黒い線が転写される
  • 紙が破れる

など、修復できない損傷が発生することがあります。


スキャン前に発見されるケースも増加

スキャンサービスへ入稿された図面の中にも、

  • 何十年も倉庫に保管されていた
  • 一度も開かれていない
  • 丸めたまま保管されていた

という図面が少なくありません。

開封した際に図面同士が貼り付いていることもあり、無理に剥がすと原本を傷めてしまいます。

経験豊富なスキャン業者では、図面の状態を確認しながら慎重に取り扱い、可能な限り原本へのダメージを抑えた作業を行います。


電子化しておけば劣化は進まない

紙図面は、

  • 紫外線
  • 温度
  • 湿度
  • 酸化
  • カビ
  • 虫害
  • 折れ
  • 破れ

など、さまざまな要因で少しずつ劣化していきます。

一方、スキャンしてPDFやTIFFなどの電子データに保存しておけば、画像そのものが時間の経過で劣化することはありません。

さらに、

  • 複数拠点で共有できる
  • 検索しやすい
  • 災害対策になる
  • 原本の閲覧回数を減らせる

など、多くのメリットがあります。


劣化が進む前の電子化がおすすめ

白焼き図面は青焼き図面ほど劣化が目立たないため、「まだ大丈夫」と思われがちです。

しかし、高温環境によるトナーの再溶融や転写は、一度発生すると元の状態へ戻すことはできません。

近年の猛暑を考えると、長期保管している図面は今後さらにリスクが高まることが予想されます。

大切な設計資産を将来に残すためにも、原本の状態が良いうちに電子化しておくことが重要です。


まとめ

青焼き図面の退色はよく知られていますが、白焼き図面も高温保管によってトナーが軟化・転写し、重大な損傷を受ける可能性があります。

近年の異常気象では、保管環境が図面の寿命を大きく左右する時代になりました。

古い図面を保有している企業では、原本が読めなくなってしまう前にスキャン・電子化を進めることで、大切な技術資料や設計資産を長期にわたって安全に保存できます。